敵影/古処誠二

敵影

敵影

再読。
白沢伍長どんだけ恨みかってんだよ!!と思ったけど吐露される回想を読んでそりゃ恨むなって思った。確か初読のとき「あれ語学兵って前に読んだ本に出てたよな同じ人物かな…」とぼんやり思ったんだけど、今回続けて読んで「知っていれば気づくけど知らなければ気付かない」、古処のそういうあたりのバランスも好きだと思った。オースティン・スミスとかもそうだったし。同著者・他作品のつながりはその程度にしてほしいんだよな…。わかりやすい例えがパッと出てこないけど。
見る角度によって、弱みも強みも変わる、というのがカジハラで表現されていると思いましたよ。それがわかるのは作品を外から見てる読者になるんですけれども。明確な続刊扱いではないし、それを目的とした表現の違いではないかもしれないけど…でもショーティーの見たカジハラとは全然違ったしそれは意図して書いたんじゃないのかなあ。
「死んでいないことが罪」と、生きている人間が自覚し、でも死なずに生き続けている。自分がなにかをしたわけじゃなく、強いて言えばしていないからこそ生きているわけだし、しかし生きているということは他者の死の上に立っているということで、いやほんとやりきれないしきつい。