Story Seller

Story Seller (新潮文庫)

Story Seller (新潮文庫)

伊坂はうまいよなー。あと有川浩が好評で「やはり世間は『泣ける』といわれる系統の話を求めているのか…」と思った。
ところで出版順の著作リストはえらいと思う。

追記。マイナスな感想ってあんまり書きたくないんだけどやっぱ書く。有川の話。
性描写…と言うとなんかあれですがキスシーンとかですね、どうもその辺がいまいち合わない気がしてきた。気がしてきたっていうか前々から思ってましたけど。なんかこう…自意識過剰さというか…耳年増っぽさ?自分より年上の既婚者に耳年増って言葉を使うのもなあって感じなんですがそうとしか表現できないこの感じ。「どこかの本で読んだことを鵜呑みに書き写しました」感があるんだよ…。
違和感といえば啖呵きるときの「台詞か」感もそうなんですが。いやー好きなときは好きなんだよ。でもなんか最近だめだ、というかこの話はとてもだめだった。あれかな、自衛隊も武器も戦争も出てこない話、だと違和感が大きいのかな…(笑)。舞台効果?

「世間で言う『泣ける』話」へは、この話に限らずもやもやとしているのでそこを含めて言ってしまうと、人の死・喪失っていう「否応なく感情を揺さぶられるに決まってる」出来事を持ってくるのは卑怯じゃないですか、って思うんですな。吊り橋理論と同じで、喪失というエピソードに心が揺さぶられたことを「美しいものやすばらしいことに接して強い印象を受け、心を奪われ」たと錯覚してんじゃねーの、っていう(出典:大辞林『感動』)。そういう話すべてが駄作であると言いたいわけじゃないし、そういう話を否定したいわけではないですが。今の『泣ける』ブームがねー。それは作品の評価じゃないんだろ、って思うんです、よ。ブームに乗りたくないひねくれた精神が影響してるのもあるんだろうけど、ていうかなんでも『泣ける』って言えばいいと思ってそうな出版・映像業界が我慢ならないこの頃。
というわけで「あーきっと『泣ける』って感想たくさんだわー…」って真っ先に思ってしまったし、案の定だったので「あー…」って思った。ストーリー自体の評価以前に、『泣ける』ブームにあーって思う今の私なので、「ああやっぱり」以外の感想がちょっとすぐには出てこない。話自体への評価じゃないのはわかってます。