小さな男 * 静かな声/吉田篤弘

小さな男 * 静かな声

小さな男 * 静かな声

帯に「待ちに待たれた2年ぶりの新作小説」とあるので、ほんとに待ったよ!!!と思いました。や、その割にこの間気づいて慌ててリクエストしたんですけどね。毎月新刊チェックしているわけではないから見逃すんだよなあ…。
ああん惜しい!すれ違いいい!!(><) とやきもきしつつ、そういう微妙な距離がよい。ミヤトウさんは小さな男の考えていることを読者ほどには理解できないし、小さな男は静かな声とどういうつながりであるか知らないし、静香さんは「この空の下」へ「しみじみ」を届けてくれたらいい。

 私も歳をとったが同じように世界も歳をとった。私が年輪を重ねるあいだに、世界というか地球は何回転くらいしたのだろう。ざっと計算しても、七千回転くらいか。
 私は私の「百科事典」を書き続けるために私なりにさまざまな事物を憶測し、予測し、推測してきた。そんな私であっても、途切れることなく七千回も回転しつづけているものを他に知らない。

 西の涯のポルトガルは遠いが、明日ならすぐそこにある。一晩眠ればイヤでもたどり着く。一晩眠って目覚めた彼は自然と「明日」にたどり着き、それは「昨日」とよく似ているが、じつは地球が一回転した「今日」であった。たとえ七千分の一であっても、変化は少しずつ起きて後戻りはもう出来ない。

「ついに」と妹の「そうなんだ」が好き。