2007年読書まとめ
今年、通しで読んだ(デビュー作から順番に読もう!と決意して最新まで追いついた)のは、大体こんなもんかしら。抜けてるかもだけど。
読みかけは吉田修一、笙野頼子。
読むのは何でもいいというか「読むに耐える文章ならば何でもいい」ので、リストに有名人気作家が増えるのですな。人気なら外れないだろうという想像で手をつけて、読み尽くしたら次!と。だから、リストがミーハーだよねというのは別に否定しませんが、好きだから読んでいると言うより嫌いじゃないから読んでいるのでちと違う。
それで今年MIP(Pかよ)は誰かって言うと、吉田篤弘になるかなあ…。よく掘り出した!という感じ(前述の通り適当に読んでるから)。針が飛ぶがベスト、次点フィンガーボウルとつむじ風食堂。長嶋有も非常に悩むところであるのだけど。吉田篤弘ほど「ギャー何これ!好き!ちょうすき!!!」ていう理性吹っ飛んじゃう恋☆みたいな衝動はないけどしみじみ好き。
有川浩は今年以前から目をつけていたので、世間で今年フィーバーしたとは言えあまり「私の今年の」的な感じがないんだよなあ…。図書館戦争は去年だしね。シリーズが終わったのでそこに敬意を表した選出(笑)的なのも有りだけど、図書館戦争を最初に読んだ衝撃(主に世界観の設定に)と陸海空三部のインパクトにはかなわないかにゃーと。
森見登美彦も同様。夜は短し〜表題は、読んだの去年だったから、これでフィーバーされましてもわたくしとしては今年のきつねとメロスより太陽の塔と四畳半コンボの方が強烈だったので、いやいやお前はもっと出来る!みたいな感じ。
ついでに今年通読作家にちょろりと触れてみると、取りあえず伊坂幸太郎は好きだけどあざとい(笑)。あれもそれもどれもうまいし好きなんだけど、「こう書いておけば好きなんだろ」感がちょっと透けて見えるんだよねえ…。そういう気分を排除して言えば、どれも構成が秀逸でとかベタ褒めますけれど。小川洋子は博士〜にたどり着こうと思って読み始めたら想像と違ってて、興味深いし楽しいけれど好きかと問われるとまた難しいところで…笙野頼子もそんな予感。朱川湊人はまとめてみて思い出しました。こういうことがあるのでまとめの意義があると思います去年は近藤史恵を思い出しました。でもホラー系だからなあ朱川湊人…。後味よくなかったり余韻がマイナス方面の話ってあんまり好きじゃない。ハルヒは「どれそんなに評判なら久しぶりにラノベ読もうかね」と思ってみたんですが予想外に楽しかったです。清水博子の感想でコメント引用しましたが「つまりわたしたちは、すでにすべてのことは書かれてしまった、そうあらかじめ教えられた世代なんだと」。それを踏まえた上でのフィクションを描ける人なのですな。
恩田陸…はそれこそ今更だよなあ、村上春樹もだけど。ちゃんと全部読もうとずっと思ったまま飛ばし飛ばし読んでた人たちなので、しっかり通読できたのは達成感であります。
まあ吉田篤弘、長嶋有の次点は有川浩と森見登美彦でー。なんだかんだ言いつつ大好きではある。理性吹っ飛んじゃうじたばたしたくなる系。
作家の時点でこんなになるのに、読んだ本ベスト10だなんて選びようがない(笑)。「作家」ていう大きめなカテゴリ、もしくは「この一文」という小さい部分、極端なとこしか挙げられないのは「この選手が好き」「このプレーがよかった」を主に語るのと通じるなー。そういう部分しか見られないんだろね多分。ベストイレブンは決められない人間です。
ということで集計上位10名と作品いくつか。
- 1位:恩田陸 35 ねじの回転、ネクロポリス、チョコレートコスモス
- 2位:小川洋子 20 博士の愛した数式
- 3位:村上春樹 18 風の歌を聴け、1973年のピンボール、羊をめぐる冒険
- 4位:伊坂幸太郎 13 チルドレン、砂漠、週末のフール
- 4位:近藤史恵 13 狼の寓話、サクリファイス
- 6位:森博嗣 11 惰性と再読なのでなんとも言い難い
- 6位:有川浩 11 全部?
- 8位:吉田篤弘 10 前述の通り
- 9位:谷川流 9 まあ憂鬱…から消失ぐらいか
- 9位:長嶋有 9 パラレル、泣かない女はいない、エロマンガ島の三人(青色LED)
案外さっき書いた通読した人とかぶりましたね。そりゃそうか。
恩田陸はどれも「そこで終わるのかよおおおぉぉおお!!!!!」作品だけど、挙げてない中でそうなったよりも力強く悔やまれる作品でした…という理由で。ロミオも月の裏側も入れたいところですが後者は再読なのだよね。まあこんなあたりで。思いっきり完全フィクションが好きだ。何度ラストで裏切られようとも(笑)。
小川洋子と村上春樹はそれ以上に難しい、ていうか「作品が好き」なんじゃないんだもんな厳密には。文章と世界観全体だからさー。強いて無難な話を挙げてみましたって感じで。終末のフールは、主にヨールの反則度合いのみで入れてます。ヨールって!おまえ!!!www ていうインパクト(読んだ人にしか通じないが)。いや、確かに設定もおもしろかったし1冊通して連作としての構成もうまいんだけど、伊坂はそのぐらいは普通に書ける作家であると思っているンダヨネー。ここまで基盤から構築した話だと、あのまとめ方でカタルシスはそう得られないというかー。うまいとは思うけど前述の人を引き合いに出すと、恩田陸ほどではないよねと(笑)。1冊の本として、構成の緻密さでギャーってなったのはやはり針が飛ぶ@吉田篤弘なのだな…。読んだ端から忘れてる中にもっと感動作品あったかもしれないけど。(えー)
サクリファイスがキノベスだって今日知った。さもありなん。あれはすごいよ。今までの近藤史恵の「後味の良さに逃げない」話、から一歩進んだ感じ。
…と、終わりがないので(笑)、この辺でぶった切り。冊数読んでない人には触れられてないままですが、まあ興味がある人がもしいるなら聞いてくれたらいいですよ。